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秋田の秋 [旅のはなし]

9月29日から10月1日にかけて秋田へ。
秋田県立大学へ呼ばれて、教職員の方々へ講義とグループをするため。
ふだんお会いすることもあまりない工学系の先生方であったが、
反応はとてもよく、うなずきながら聞いてくださった。
グループにも30人近くが参加してくださり、それぞれの体験を率直に語って下さった。
実験系の研究室で複数の学生を指導するのは、看護系とはまた違った苦労があるようだ。
とくに、機械を使うところは、拘束時間も器械次第のところがあり、大変そうだった。

次の日は、秋田大学に場所を移して、
仙台に拠点のある東北集団精神療法研究会の人たちにも参加してもらっての体験グループ。
さまざまな職種が混じって、11名とちょうどいいくらいの参加者。

今回の旅は、グループでもそうだったが、東京に住んでいるということの意味を考えさせられた旅でであった。ふだん、なんとなく当たり前のように思っていることが、土地が違うと同じではないのだということ。
それは、前日、前から行きたかった獅子が鼻湿原を訪れたときにも感じたことだった。

獅子が鼻湿原は、秋田と山形の県境にある鳥海山のふもと、鳥海国定公園にあり、ぶなの原生林やまりもは国の天然記念物になっているそうだ。
由利本荘市からレンタカーで数十分。途中もあまり、人がみあたらない。
夏と秋の行楽シーズンの狭間で、大きい駐車場にもマイクロバスが1台止まっているだけ。

降りるとすぐ、「きけん、熊に注意」という注意書きがあり、愕然とする。
ちょうど冬眠前で、栗やドングリなど木の実がたっぷりなっている時期で、熊も活発に食べ物をあさっている最中らしい。注意といわれても…。どうすればよいのか?
管理事務所らしき建物があり、その前に、「長靴貸します」という紙が貼ってあったので、鈴や笛を貸してくれないかと覗いてみたが、誰もいない。
3時までに戻るようにとの注意書きもある。あと、1時間半くらいか。

案内図を見るといくつか見どころがあって、とても全部は見て回れそうもない。
鳥海山の雪解け水が80年以上もかかって湧き出ている「出つぼ」という湧水池は、別名「熊の水飲み場」ということを帰ってから調べて知った。やっぱり熊が出るのだ。

もう一つの見どころは、「鳥海まりも」という巨大なマリモ。
夏によくみられるらしいが、それらしき苔の生えた岩のようなものは見えた。1475498541879まりも.jpg
だが、鳥海マリモは岩のような苔のかたまりだそうで、それが果たしてマリモだったのかどうかは、さだかではない。1475498588476.jpg

また、「あがりこ大王」という名所もあるらしいが、とても1時間半程度で回りきれない。それでも行けるところまで行ってみようと歩き出す。
ちょっと雨もよいだった空も、徐々に雲間から太陽が顔を出し始めた。
ハレ女は健在。

歩き出すとすぐ、古い大きな木々に圧倒される。まるでトトロの世界だ。1475498671439獅子が鼻湿原古木.jpg
登っていくと、ブナの木はぐにゃぐにゃと曲がって、不思議な形をしている。
1475506106194ブナの木.jpg
「あがりこ大王」というのは、中でも巨大な奇形のブナの木なのだそうだ。
あとで調べたら、樹齢300年・幹回り7.62mと他を圧倒する森の「王様」とあった。

熊に見つからないよう急いで歩いたせいか、予想より早く戻ることができたので、同じ象潟町にある元滝伏流水というところにも寄ってみた。
ここは獅子が鼻湿原ほど広く奥まってはいないが、同じく鳥海山からの伏流水が滝のように湧き出ているところだ。
1475498755918本滝伏流水.jpg1475505957700元滝.jpg
水は澄み切っていて、あくまでも美しく、空気もすがすがしかった。

この象潟という地域は、以前は九十九島(つくもじま)と呼ばれ、松島と並び称される景勝の地だったそうだ。だが、西暦1804年の象潟地震により、土地が隆起し、平らな田園地帯になってしまったのだという。

その後、近くの蚶満寺(かんまんじ)というお寺にも寄ってみた。
この寺が開かれたのは古く、平安前期の853年のことだそうだが、鎌倉時代中期に時の執権北条時頼が、北国巡遊で訪れたときに寺領を寄進し再興したと伝えられている。
そんな歴史を象徴するような大きな古木が何本もあり、境内には多くの古い仏像や墓石もあった。1475498320293坩満寺.jpg
この寺には、芭蕉が奥の細道で訪れたのをはじめ、沢庵禅師、小林一茶、正岡子規など多くの文人墨客が訪れているのだそうだ。芭蕉の句碑もあったが、苔むしていて読めなかった。

それにしても、こんな悠久の自然や歴史と文化を伝える場所が生活圏のすぐそばにあるなんて、すごい。

自然だけではない。とにかく食したものがすべておいしいのなんのって。

初日の昼食に食べたとんかつといい、晩のお寿司といい、食べ過ぎだと思っても、いくらでも食べられるかんじ。
寿司や(鮨駒)さんでは、つきだしに青いブドウに手作りの豆腐をあえたものが出て、びっくり。さらにデザートには大将の奥さんの手作りの栗のモンブラン。これまた美味。
私はお酒はからきし飲めないのだが、大将がすしネタに合わせて、違う日本酒をすすめてくれて、飲んだ同行者は堪能した様子。ちょっとうらやましかったかな。
翌日の昼食はうどん。鮨駒さんのおにいさんがやっている店。秋田はそばではなく、うどんなのね。
夜は和食のコースには、はたはたの焼き魚、新米でつくったきりたんぽ鍋と稲庭うどんがついてきた。食べきれない。でもおいしい。
なんといっても、お野菜がおいしい。ホテルの朝食でさえ、おいしかった。
これは本当にうらやましいことだ。
しかも、なぜか帰ってきて恐る恐る体重計に乗ると、体重は1キロくらい増えていたが、なんと体脂肪率は減っていた!
歩いたおかげかな。

でも、来年には秋田県の人口が百万人を切るらしいということで、秋田の人々は寂しい思いをしているという。
こんなにおいしい食べ物があっても、冬の雪の厳しさ、日照時間の少なさなどもあって、若い人たちはどんどん県外へ出て行ってしまうらしい。
雪かきに必要なエネルギーや費用、一人一台必要な車の維持費やガソリン代。
そういったものは、東京に住んでいればなくて済む。
東京はものの値段が高いといっても、安いものも身近にたくさん手に入るし。
東京への一極集中が進む中、日本国中、地方に行けば同じような悩みがある。
福島の第一原発が東京電力のものだったように、東京はそうした地方を搾取して成り立っているような気がする。東京そのものが東京電力なんだな。

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